「住宅資金貸付条項」とは何ですか?
個人民事再生における住宅資金貸付条項について説明します。
この制度は、住宅ローン等の住宅資金だけはこれまで通りに返済を行いながら、その他の債務については大幅な減額を認めるという制度です。
自己破産の場合には、すべての債務を免責できるという最大のメリットがあります。
しかし、住宅などの一定以上の資産価値があるものについては売却して債権者に配当しなければならないため、自宅も手放すことになります。
バブル崩壊後に、この問題は急増しました。
そのため、個人民事再生の住宅資金貸付条項を定めた再生計画が認可されれば、自宅は残したままで他の債務を整理することができるようになりました。
再生計画が認可されると、住宅ローンについてはこれまでどおりに返済します。
そして、それ以外の債務は約80%ほど減額されることになり、残債を通常は3年で返済していくことになります。
つまり、返済していくということが条件となりますので、自己破産の場合とは異なり、一定の収入があることが再生計画が認可されるためには必要となります。
ただし、個人民事再生が認められないケースもあります。
それは、どのようなケースなのでしょうか?
まず、個人民事再生の要件を満たしていない場合はもちろん認められません。
また、債権が住宅資金貸付債権に当たらない、および、住宅資金貸付債権が法定代位による取得されているケースも認められません。
そして、対象となる住宅に住宅ローン関係の抵当権以外の担保権が設定されていると住宅資金貸付条項は利用できません。
諸費用のローンの担保として抵当権が設定されている場合にも利用できない可能性があります。
さらに、住宅以外の不動産にも住宅ローン関係の抵当権が付いている場合、つまり、共同担保物件となっているケースでも利用できなくなります。
これら以外であれば、再生計画案を裁判所に提出し、債権者の過半数、あるいは、2分の1以上の反対がない場合には再生計画案は認可されることになります。
通常、この段階で反対する債権者はほとんどいないというのが実情ですので、条件さえ満たしていれば認可されるということになります。
詳細は専門家の方にお尋ねしてみてください。
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